廃線の危機に直面していた和歌山県御坊市のローカル私鉄、紀州鉄道について、その事業を別の事業者に譲渡する方針が固まったことが分かりました。ANN News 24Hが伝えたところによりますと、これによって、一時は存続が危ぶまれていた路線が、今後も運行を続けられる可能性が出てきました。
この方針は、御坊市の三浦源吾市長が明らかにしたものです。今月三日に開かれた協議会の場で、紀州鉄道の中川源行社長から、事業を別の会社に譲り渡すという方向性が示されたということで、廃線の危機から一転して、存続に向けた最終的な協議が進められることになりました。
紀州鉄道は、JRの御坊駅から学門駅や市役所前駅などを経由して、西御坊駅までを結ぶ路線です。全長はおよそ二・七キロと非常に短く、日本で最も短いローカル私鉄の一つとして知られています。地元の人々の暮らしの足として、また地域の象徴として、長年親しまれてきました。
この鉄道の歴史は古く、もとは御坊臨港鉄道として設立され、昭和の初め、一九三一年に開業しました。それ以来、地域の交通を支え続けてきましたが、近年は利用者の減少などにより、経営が厳しい状況に追い込まれ、路線をどう維持していくかが大きな課題となっていました。
事業の譲渡先が決まったことを受けて、御坊市は、路線の存続を後押しするための支援を検討する方針です。市は、地域における公共交通としての価値や、観光や地域の資源としての価値、そして持続可能な運行体制に向けた支援のあり方などを調査・研究するための予算案を、市議会に追加で提出するとしています。
一方で、三浦市長は、鉄道事業を取り巻く経営環境は依然として厳しいと指摘しています。そのうえで、運行する主体が変わるだけでは、収支が抜本的に改善するわけではないことは明らかだとして、公的な支援も含めた、持続可能な枠組みを築いていくことが必要だという考えを示しました。
市としては、地域の交通を維持するという観点に加え、観光や地域の資源という観点からも、紀州鉄道をどのように支えていくべきかについて、引き続き検討を進めていきたいとしています。日本一短いとされるこのローカル線が、譲渡を経てどのような形で存続していくのか、今後の動きが注目されます。
