アメリカのニューヨーク市で今月から新たに導入された別荘税をめぐり、マムダニ市長は、課税の対象となる可能性がある市内の別荘について、その数が三万一千戸を超えるという規模を公表しました。高額な別荘に狙いを定めたこの新しい税制度が、実際に市内のどれだけの物件に及ぶことになるのかが、具体的な数字とともに正式に示された形となり、対象となりうる市内の富裕層を中心に、税の是非をめぐって大きな関心と論議を呼んでいます。
今回、市が公表したリストで特に注目を集めているのは、その内容の詳しさです。課税の対象となる可能性がある物件そのものだけではなく、それぞれの別荘の持ち主の名前、さらにはその住所までもが一覧に含まれているということです。誰がどこに、どのような高額の別荘を所有しているのかが公の形で明らかにされたことで、これは単なる税制上の手続きの問題にとどまらないものとして受け止められ、市内で大きな波紋が広がっています。
この別荘税は今月から正式に施行されたばかりの新しい制度で、課税の対象となるのは、市内にあるおよそ八億円以上の価値があると評価された住宅です。市の当局は、これまで十分に課税されてこなかった高額な別荘からも新たに安定した税収を確保したい考えとみられ、あくまで一定の金額を超える高価な物件に絞ったうえで、その所有者に対して毎年、継続的に追加の負担を求めていく仕組みで、市にとっては新たな税収源として位置づけられています。
具体的な税率については、課税の対象となる別荘の評価額に応じて、毎年、評価額の〇・八%から最大で一・三%までが徴収されることになっています。評価額が高くなればなるほど、それに比例して納めるべき税額も大きくなる仕組みであるため、市内に豪華な別荘を所有する富裕層にとっては、年間で支払うことになる負担が決して小さくない金額にまで膨らむ可能性があり、これが所有者側からの強い反発を招く大きな一因ともなっているとみられます。
ニューヨーク市が今回公表したリストには、著名な投資家や政治家、さらには俳優らが所有するとされる別荘が数多く掲載されているということです。普段はあまり表に出ることのない富裕層の資産の一端が、市の手によって明らかにされた形となり、こうした人々が市内でいったいどれほどの規模の高額な不動産を保有しているのかという点についても、税の議論とあわせて、改めて市民や世間の大きな注目が集まる結果となり、論議に拍車をかけています。
その一方で、実際に課税の対象となった別荘の持ち主らからは、この新たな税に対する強い反発の声も相次いで上がっています。持ち主らは、こうした重い課税はかえって富裕層の市外への流出を招くことになり、結果として市の財政をむしろ悪化させてしまいかねないと批判しています。税が本来目指している狙いと、実際にもたらされることになる効果をめぐって、市内では賛成と反対の見方が大きく分かれ、激しい論争へと発展する事態となっています。
これに対して、アメリカの有力紙であるニューヨーク・タイムズは、社説の中でこの別荘税をむしろ前向きに評価しました。政府が抱える財政赤字や、広がり続ける格差の是正といった課題に対処していくうえで、経済に与える悪影響が比較的少なく、政治的にも支持を得られやすい手段であるとして、その意義を積極的に認める立場を打ち出しています。こうしたなか、この別荘税をめぐっては、専門家や市民の間でも賛否が激しく交錯する状況が続いています。
