猛烈な勢力を保ったまま日本の南西諸島を通過した台風九号が、十三日未明に中国大陸へ上陸した。上陸した浙江省や福建省では、暴風と豪雨に備えて合わせて二百四十万人以上が避難し、各地で住宅や田んぼが水につかるなど大きな被害が広がっている。この台風は中国に上陸する前から猛威を振るっており、日本の沖縄県・石垣島や宮古島を相次いで直撃して大規模な停電や倒木の被害をもたらした後、東シナ海を越えて中国大陸へと達した。現地では引き続き、強い風と雨への警戒が求められている。
上陸した浙江省の温州市にある村では、田んぼがその面影をなくすほど一面が濁流にのみ込まれ、車が水に浸かって水没する様子が確認された。強風でうねりを伴った高波は、切り立った岩壁の上を走る道路にまで達し、周囲には吹き飛ばされた屋根やフェンスが散乱した。夜が明けて明らかになった被害の全貌は深刻で、山肌が大きく削られ、大量の岩が崩れ落ちた現場も広がっている。沿岸部を中心に、住宅や農地、道路が広い範囲で損壊した。
現地メディアによると、台風が上陸した浙江省と福建省では、合わせて二百四十万人以上が安全な場所へ避難した。当局は上陸前から沿岸部の住民に避難を呼びかけ、学校や公共施設などを開放して受け入れを進めたとみられる。暴風雨は交通網にも大きな影響を与え、鉄道や航空便の運休・欠航が相次いだ。物流や人の移動が広い範囲で滞っており、生活への影響は上陸から時間がたっても続く見通しで、復旧の見通しが立っていない地域も少なくない。
台風九号は中国大陸に達する前、強い勢力のまま沖縄県の石垣島を直撃し、最大瞬間風速三十六メートルの暴風を観測した。沖縄県内では一時、二万七千戸以上が停電し、石垣島北部に住む西原さんはろうそくの明かりで夜を過ごしたと語った。窓を開けると潮風が入ってくるため家を閉め切って眠ったが、蒸し暑くてなかなか寝つけなかったという。島の各地では倒木の被害が相次ぎ、倒れた木が住宅を直撃した現場も確認され、住民の生活を脅かした。
石垣島とともに先島諸島に位置する宮古島でも猛烈な風が吹き荒れ、最大瞬間風速四十二・七メートルという記録的な暴風が観測された。台風の中心付近では、家屋や電柱をなぎ倒しかねない猛烈な風が長時間にわたって吹き続け、住民は屋内での待避を余儀なくされた。強風による飛来物や倒木の危険が高まり、沿岸部では高波への警戒も続いた。南西諸島の島々は、大陸に向かう台風の通り道となり、通過のたびに大きな爪痕を残される形となった。
今回の台風九号には、専門家も驚く特異な構造があった。坪木教授らの研究チームは、先島諸島からおよそ三百キロの地点で、調査のためジェット機を台風の目の中に突入させ、その内部を撮影した。観測によると、台風の目は直径二百キロほどと極めて巨大で、さらにその大きな目の中に、直径四十キロほどのもう一つの目を抱える二重構造になっていた。二つの目が生み出す相乗効果によって、周辺の暴風がさらに強まったとみられている。
坪木教授は、今年赤道付近の東側で海面水温が高くなるエルニーニョ現象の影響で、今後の台風の大きさや数が増える恐れがあると警鐘を鳴らしている。東側で発生した台風は、海面水温の高い海域を長い距離にわたって移動するため、より発達しやすいという。今年は例年なら台風が発生しにくい二月や三月にも生まれており、今後さらに数が増えていく可能性は十分にあると指摘した。専門家は、住民に対して早めの備えと最新の気象情報の確認を呼びかけ、油断せず警戒を続けるよう促している。
