気象庁の気象研究所は、海の上で水蒸気の量などを観測するため、専用の機器を使った新たな調査を始めました。ANN News 24Hが伝えたところによりますと、この取り組みは、毎年のように各地で大きな被害をもたらしている線状降水帯や、台風の予測精度を向上させることを目指したものです。
気象研究所が今月の上旬から運用を始めたのは、上空の風向きや風速に加えて、水蒸気の量を観測することができる水蒸気ライダーと呼ばれる機器です。この機器を気象庁の観測船に搭載し、東シナ海や四国沖などの洋上を航海しながら、海の上の大気の状態を詳しく調べていきます。
大雨をもたらす線状降水帯は、海の上にある大量の水蒸気が、その発生の主な要因になっているとされています。しかし、海の上では陸上とは異なり、レーダーなどの装置を設置することができないため、肝心の水蒸気を正確に観測することが難しいことが、これまで大きな課題となってきました。
今回導入された水蒸気ライダーは、こうした海上での観測の難しさを補い、これまで十分にとらえることができなかった水蒸気の量や、その分布の状況を把握することを可能にするものです。海から大気へどのように水蒸気が供給されているのかを詳しく調べることで、線状降水帯が発生する仕組みの解明につなげたい考えです。
さらに気象研究所は、台風のメカニズムの解明を目指した観測も行います。台風が発生した際に、その進路の近くにある海域で、中層フロートと呼ばれる機器を使い、水深およそ二千メートルまでの海の中の水温や塩分の濃度の変化などを調査するということです。
海から入ってくる水蒸気を正確にとらえることと、その水蒸気が最終的に降水となって雨が強まっていく過程を解き明かすことは、いずれも容易ではないとされています。担当者は、こうした難しい過程を含めて、まだまだ解明しなければならない点が多く残されていると指摘しています。
海の上での水蒸気の量の調査自体は昨年から始まっていますが、今回の水蒸気ライダーと中層フロートという二つの機器が実際に使われるのは初めてのことです。気象研究所は、これらの新たな観測で得られたデータを積み重ね、線状降水帯や台風による災害の防止や軽減につなげることを目指しています。
