岩手県西和賀町の山林で、山菜採りに出かけた中島達郎さんが遺体で発見された。警察によると、前日の午前7時半過ぎ、山菜採りに出かけた父親が帰宅しないと家族から通報があった。通報を受けて駆けつけた消防などが中島さんの遺体を現場で発見し、上半身にはひっかかれたような傷などが確認された。傷の状況からクマに襲われた可能性が高いとみられており、警察と地元関係者が詳しい状況を調べている。遺体が発見された際には、現場の近くに若い個体とみられるクマ1頭がいたことも確認されている。
事件を受けて地元の猟友会は直ちに対応を開始し、遺体発見現場の付近に複数の罠を設置するなどの対策を講じた。猟友会のメンバーは周辺地域での警戒パトロール活動を大幅に強化しており、住民に対しても当面の間は山林への立ち入りを控えるよう強く注意を呼びかけている。西和賀町は良質な山菜の名産地として広く知られ、毎年この時期には地元住民だけでなく近隣地域からも多くの人々が山に入るが、今回の死亡事故を受けて入山時の安全対策の徹底が強く求められている。
同じ時期に宮城県大崎市でもクマによる被害が発生している。自宅近くでタケノコを採っていた70代の女性が、体長およそ1メートルのクマと遭遇した。女性はクマを追い払おうとしたが、その際に転倒して骨折する怪我を負った。クマは女性を攻撃することなくその場から逃走したということで、警察が周辺の警戒にあたっている。東北地方ではこの時期、タケノコや山菜を求めて山に入る住民が多く、クマとの遭遇リスクが例年高まる傾向にある。
春から初夏にかけての時期は、クマが冬眠から明けて活発に活動を始める季節と重なる。餌を求めて行動範囲を広げるクマと、山菜やタケノコの採取のために山林に入る住民との接触機会が増加するため、毎年この時期には東北地方を中心にクマによる人身被害が報告されている。今回の岩手県での死亡事故と宮城県での負傷事故は、いずれも山菜・タケノコ採りの最中に発生しており、山林での活動時における十分な警戒の必要性が改めて浮き彫りになった。
各自治体や警察は、山菜採りなどの目的で山に入る際にはクマ鈴やクマ除けスプレーの携帯に加え、必ず複数人で行動することを強く推奨している。猟友会による罠の設置や定期的な巡回パトロール活動も大幅に強化されているが、広大な山林地帯のすべてを網羅的にカバーすることは現実的に難しく、山林に入る住民一人ひとりの自衛意識と事前の情報収集が極めて重要となっている。今年も東北地方を中心にクマの目撃情報が各地から相次いで報告されており、当局は引き続き最大限の注意と警戒を呼びかけている。
