厚生労働省は5月21日、加熱式タバコが健康に与える影響についての研究グループによる評価結果を公表した。それによると、加熱式タバコの副流煙からは一部の発がん性物質が検出され、屋内での喫煙により有害化学物質が空間に広がることが確認された。しかし、受動喫煙による健康への影響については、現時点で関連が強いものは認められないと結論づけた。
一方で、専門家パネルによるレビューでは、一部の加熱式タバコ製品が通常の紙巻きタバコよりも多くの発がん性物質を生成している可能性があることも指摘された。加熱式タバコの主流煙には紙巻きタバコと同程度のニコチンを含む製品もあり、有害物質の軽減が必ずしも健康リスクの低減につながるとは限らないと専門家は警鐘を鳴らしている。
厚労省の委員会に出席した専門家は、加熱式タバコは市場に普及してからの年月が十分に経過しておらず、長期的な健康への影響に関する研究データが不足していると指摘した。受動喫煙のリスクについても、現時点の科学的根拠だけでは安全性が確立されたわけではなく、引き続き研究を重ねていく必要があるとの見解を示した。
この評価結果は、厚労省が年内にまとめる予定の受動喫煙対策に関する政策提言に反映される見通しだ。現在、委員会では加熱式タバコに対する規制を強化すべきかどうかについて議論が続いており、今回の評価はその方向性を左右する重要な資料となる。日本は世界最大の加熱式タバコ市場の一つであり、政策の動向は国際的にも注目されている。
加熱式タバコは2014年に日本で本格的に発売されて以来、急速に普及し、現在では喫煙者の約3割が加熱式タバコを使用しているとされる。健康増進法の改正により2020年に受動喫煙対策が強化されたが、加熱式タバコについては紙巻きタバコほど厳しい規制は設けられていない。今回の評価を踏まえ、規制の見直しに向けた議論がさらに活発化することが予想される。
