日本政府観光局(JNTO)が発表した最新の統計によると、2026年4月に日本を訪れた外国人旅行者数は369万2200人に達し、今年に入ってからの単月最多を記録した。桜の開花シーズンと重なった4月は例年インバウンド需要が高まる時期であり、今年も花見を目的とした旅行者が世界各地から押し寄せた。ただし、前年同月比では5.5%の減少となった。この減少の主な要因はイースター休暇の日程のずれにあり、今年はイースターが3月下旬から4月上旬にまたがったことで、欧州からの訪日需要が3月末と4月初旬に分散したとみられる。
国・地域別では、9つの国と地域が4月としての過去最多を更新する好調ぶりを見せた。韓国、台湾、ベトナムなどアジア近隣諸国が引き続き訪日旅行の主力となり、それぞれ4月の記録を塗り替えた。特に注目すべきはフランスで、単月としての過去最多記録を達成した。フランスからの訪日客数がこれまでのどの月をも上回ったことは、日本の観光地としての魅力が欧州でも一段と高まっていることを示している。桜や日本文化への関心に加え、円安の恩恵もフランス人旅行者の増加を後押ししたとみられる。
一方で、一部の国・地域からの訪日客は大幅に減少した。中東地域からの旅行者はイラン情勢の悪化に伴う航空便の欠航や減便の影響を受け、訪日客数が急減した。地域の緊張が高まる中、中東発着の国際線が制限され、日本への直行便やトランジット便の利用が困難になったことが直接的な原因とされる。また、中国からの訪日客も顕著な減少を見せた。中国政府による渡航注意喚起や、国民の間での海外旅行自粛ムードが広がったことが背景にあり、日中間の旅行需要は依然として回復途上にある。
全体として、4月の訪日外国人数は今年最多を達成したものの、前年割れとなったことは、インバウンド観光が外部要因に左右されやすい構造的な課題を浮き彫りにしている。イースター休暇のような暦の変動、地政学的リスクによる航空路線の縮小、そして各国の渡航政策の変化が訪日需要に複合的に影響を及ぼした。それでも、韓国・台湾・ベトナムといった近隣国の堅調な伸びやフランスの過去最多更新は明るい材料であり、日本の観光産業にとって多様な市場からの集客がますます重要になっていることがうかがえる。今後は夏の旅行シーズンに向けて、さらなる訪日客の増加が期待される。
