千葉県の房総半島を中心に大繁殖している外来生物のキョンが、県の設定する拡大防止ラインを越え、茨城県で初めて捕獲されました。これまで千葉県内に集中していたキョンの分布が、隣の県にまで及び始めたことを示す出来事で、生息域の広がりに歯止めがかからない現状が改めて浮き彫りになっています。
キョンはシカのような姿をした小型の動物で、人がえずくような声とも形容される独特な鳴き声が特徴です。夜になると道路上に現れることもあり、暗がりの中で目が光って見えます。人が近づいても警戒する様子をあまり見せないなど、人里に入り込んで生活している様子がうかがえます。
このキョンの分布域は、ここ二十年ほどで大きく変化してきました。およそ二十年前にはキョンが確認されていたのは五つの市町のみでしたが、その後じわじわと生息範囲を広げ、二〇二五年までには十八の市町にまで拡大しています。短い期間で生息する地域が大きく増えたことになります。
分布域の拡大とともに、生息数そのものも急激に増えています。これまでにキョンの生息数はおよそ九万四千頭にまで達しているとされ、爆発的に数を増やしてきたことがうかがえます。繁殖力の高さが、こうした急増を支えているとみられています。
数を増やしたキョンは、地域に被害をもたらしています。とりわけ農作物の食害が発生しており、住民にとって身近で深刻な社会問題となってきました。映像では、キョンが畑のブドウの実を食べ、かじったあとに落とした様子も確認されています。
こうした事態を受けて、千葉県は対策に乗り出しました。県が今年三月に設置したのが、キョンの生息域がこれ以上広がるのを食い止めるための拡大防止ラインです。県境付近での拡散を抑え、被害がほかの地域に及ぶのを防ぐことが狙いとされています。
ところが、そのラインを越える形でキョンが見つかり、茨城県で初めて捕獲される事態となりました。防止ラインを設けてもなお生息域が広がっていることを示す結果であり、外来生物の管理がいかに難しいかを物語っています。今後、被害の拡大をどう抑えていくかが課題となります。
