国税を扱う立場にある職員自身が脱税の疑いを持たれるという事態が明らかになった。疑いが持たれているのは、関東信越国税局の松尾職員である。関係当局によると、松尾職員はおよそ1億3500万円の所得税を脱税した疑いが持たれており、税の徴収に関わる公務員による不正として深刻に受け止められている。
その手口として、松尾職員はこの3年間で、協定の払い戻し金などおよそ3億3400万円にのぼる所得を税務申告していなかったとされる。本来であれば正しく申告し納税すべき多額の所得を申告しないまま放置し、その結果として1億3500万円ほどの所得税を免れた疑いがあるという流れになっている。
問題はこれだけにとどまらない。関東信越国税局によると、松尾職員は税務調査を通じて知り合った高齢の女性に対しても不正を働いていたとされる。家族に仕送りをしているなどと嘘の説明をしたうえで、この女性から現金およそ1億5000万円を受け取っていたということで、立場を悪用した金銭のやり取りが問題視されている。
さらにそのうちの85万円余りについては、女性の修正申告書に誤りがあり、新たに納めるべき税金が発生すると嘘の説明をして、金をだまし取ったとされる。この点をめぐって、松尾職員は詐欺の疑いでも刑事告発されており、脱税に加えて詐欺という二つの容疑を抱える形となっている。
一連の不正で得た金の使い道も明らかになっている。当局によると、その金は主に競艇に使われていて、合わせて8億円以上もの船券を購入していたという。巨額の資金がギャンブルへと消えていたことになり、脱税や詐欺の背景にあった資金の流れの一端がうかがえる。
こうした一連の不正を受けて、関東信越国税局は松尾職員を懲戒処分とした。国税局は、今回の問題について税務行政に対する信頼を損なうものであり、誠に申し訳なく深くお詫びするとしており、税を扱う組織の職員による不正として、行政への信頼回復が課題となっている。
