水産庁は今月29日から、世界で初めて完全養殖のうなぎが一般向けに試験販売されると発表した。完全養殖とは卵から成魚までの全過程を人工環境で行う技術で、天然の稚魚に依存しない持続可能な養殖方法として注目されている。
うなぎの完全養殖は長年生産コストの高さが課題だったが、国の研究機関である水産研究教育機構は2016年度には1日4万円だった生産コストを1800円まで下げることに成功。この劇的なコスト削減により商業化への道が開かれた。
その後、技術移転を受けた大分県内の水産会社が生産を進め、ついに一般向けの試験販売にこぎつけた。このうなぎは29日からイオングループや東京の日本橋三越本店などで購入できるようになる。
日本ではうなぎは年間数万トンが消費される人気食材だが、天然稚魚の激減が深刻な問題だった。完全養殖技術の実用化は絶滅危惧種の保護と食文化の維持を両立させる画期的な成果として、世界の水産業界からも注目を集めている。
