冷凍食品大手のニチレイが、サイバー攻撃を受けてシステムを遮断していたことがわかった。同社は今夜、自社のサーバーがサイバー攻撃を受けたと発表し、個人情報などの保護を最優先にシステムを遮断したと明らかにした。この影響で、冷凍食品の生産や入出庫、そして出荷に関わる業務が一時的に止まり、外食や小売の大手にまで欠品の影響が広がっている。食を支える物流の根幹が突然機能を失った形で、その波紋は各地の現場に及んでいる。
影響はすでに幅広い企業に及んでいる。ケンタッキーフライドチキンやくら寿司といった外食の大手、さらにイオンやドンキホーテなどの大手小売企業でも、一部の商品が欠品するなど影響が拡大した。冷凍と冷蔵の物流網が一時的に十分に機能しなくなったことで、日々の商品供給に支障が生じている。ふだんは意識されにくい低温物流の一社の停止が、身近な店頭の品ぞろえにまで直結することを、今回の事態ははっきりと示している。
現場の一つ、一日あたり十トンを超えるキムチを製造する工場でも、深刻な影響が出ている。冷凍専門の運送会社が保管に使っていた倉庫がシステム障害の影響を受け、冷凍用のキムチを出荷できなくなった。保管しておく先がないため、この工場では冷凍用キムチの製造そのものを取りやめざるを得なくなった。一方で、目の前では冷蔵用のキムチが通常どおり作られており、いつまでこの状態が続くのかという悩みは尽きないという。
影響は食卓にも及んでいる。姫路市の会社が高齢者施設などに提供している給食向けの食品が届かず、急きょメニューの変更を余儀なくされた。担当者によると、給食は栄養価もしっかり考えて組み立てているため、あまりに違う献立に変えるとカロリーが過剰になりかねず、栄養士が対応に苦戦しているという。物流の停止が、施設で日々の食事をとる利用者にまで影を落としている。
復旧の見通しについて、ニチレイは七月十七日から順次、業務を再開すると発表した。物流の関係者によると、まず十七日から発注の受け付けが再開され、翌十八日からは商品の配送も再開される見込みだという。七月十三日に遮断措置を講じてからの停止は、結果として四日間にとどまることになり、影響の広がりに対して復旧の見通しが比較的早く示された形となっている。
ただし、すぐに完全に元の状態へ戻るわけではないとみられている。再開後の最初の一週間程度は、受注や配送の量を制限するとの連絡がニチレイ側から来ているという。このため、冷凍食品や、これからまさにシーズンを迎えるアイスなど、一部の商品については再開後も引き続き欠品してしまう可能性が残されており、供給が平常に戻るまでには、なお時間を要する見通しとなっている。
今回の攻撃の中身については、まだ判然としない部分が多い。サイバーセキュリティの専門家の中には、今回の攻撃が身代金を要求する、いわゆるランサムウェアである可能性を指摘する声がある一方で、現時点では判断できないとする見方もある。ニチレイは被害の詳細を明らかにしておらず、これは今後の第二、第三のサイバー攻撃を防ぐための標準的な対応だとされている。手の内を明かさないことで、次の攻撃への備えを優先しているとみられる。
