南海トラフ地震を想定した自衛隊の訓練が行われ、陸海空共同の輸送専門部隊である海上輸送群の輸送艦が、初めて参加した。巨大地震の発生に備え、被災した地域へ人員や物資をどのように運び込むかを実地で確かめる狙いがある。
訓練は、伊豆諸島の神津島が被災し、電力が失われ、通信も途絶えたとの想定で実施された。参加したのは、自衛隊や関東地方整備局、電力会社、通信会社などからのおよそ五十人で、それぞれの立場から復旧作業を担う形が確認された。
訓練では、現地の復旧に必要な人員や物資を乗せた車両を、海上輸送群の輸送艦で神津島まで運ぶ手順が確かめられた。被災地に何を、どのように届けるのかを、船を使った輸送の流れに沿って一つずつ確認していった。
物資を積み込んだことで車高が低くなった車両も、安全に船内へ入れられるようにするための工夫も点検された。ロープを巻いたものをタイヤの下に敷くなど、応急的な対応の手順を確かめ、荷物を積んだ車が問題なく乗り込めるかどうかを検証した。
輸送艦は二十二日の朝に神津島へ到着する予定となっている。上陸したあとには、運び込んだ車両や人員が、現地で問題なく活動できるかどうかを、あらためて確認することにしている。
海上輸送群の輸送艦がこうした訓練に加わるのは今回が初めてで、島しょ部への輸送を担う部隊の実際の動きが試される機会となった。電力や通信が断たれた孤立状態の島に、船でどこまで対応できるのかが問われる内容である。
南海トラフ地震では、広い範囲で甚大な被害が想定されており、とりわけ海に囲まれた離島では、支援の手が届きにくくなる恐れがある。今回の訓練は、そうした事態に備え、人員と物資を確実に送り届ける態勢づくりに向けた一歩と位置づけられる。
