北九州市の弁護士が交流中の被告から鍵を預かり自宅を訪れた際、ろうそくに火をつけて本を探した後、火を消し忘れたまま退去して住宅を全焼させるという前代未聞の事態が発覚した。福岡県弁護士会はこの弁護士に対し業務停止二ヶ月の懲戒処分を科した。
問題の弁護士は末広政治氏。当時交流中の被告から鍵を預かり、自宅にある本や寝具を差し入れてほしいと依頼を受けて被告宅を訪れた。八月の日中にもかかわらず室内は薄暗く、部屋にあったろうそくを見つけてライターで火をつけ、明かりを確保した上で本を探すなどした。
ところが末広弁護士が家を出た後、ろうそくの火が原因で火災が発生した。ろうそくの火を消し忘れたまま退去してしまったことが原因であり、被告の住宅は全焼する被害となった。弁護士という法律の専門家でありながら、基本的な注意義務を怠ったことが重大な結果を招いた。
末広弁護士は失火の罪で略式起訴され、罰金刑を受けていた。しかし問題はそれだけにとどまらなかった。火事から四年以上が経過した現在に至るまで、損害賠償が全く行われていないことが明らかになったのである。
福岡県弁護士会は末広弁護士の対応について、真摯な姿勢が見られないと判断。自らの過失によって依頼者の住宅を全焼させておきながら、四年以上にわたって損害賠償を一切行わなかった姿勢は、弁護士としての職業倫理に著しく反するものであるとして、業務停止二ヶ月の懲戒処分を決定した。
この処分に対し、末広弁護士は真摯に受け止めるという言葉以上のコメントを出していない。被害を受けた被告にとっては、収監中に唯一の住居を失い、さらに弁護士から何の補償も受けられないという二重の苦境に立たされている状況である。
この事案は弁護士の注意義務と職業倫理について改めて議論を呼んでいる。法律の専門家である弁護士が自らの過失で重大な損害を与えておきながら、長期間にわたって賠償責任を果たさないという事態は、弁護士制度への信頼を揺るがしかねない深刻な問題として、法曹界内部でも注目を集めている。
