熊本県松橋町で一九八五年に起きた殺人事件で有罪判決を受けたのち、裁判のやり直しである再審で無罪となった男性の遺族が、国と県に損害賠償を求めた裁判で、福岡高裁は国と県の違法性を認め、合わせておよそ二千三百八十万円の賠償を命じました。捜査や裁判をめぐる国と地方自治体双方の責任が認められた形です。
問題となったのは、一九八五年に現在の熊本県松橋町で起きた殺人事件です。この事件で、男性は有罪判決を受け、およそ十年間にわたって服役しました。長期間にわたり自由を奪われる結果となりました。
その後、確定した有罪判決について裁判のやり直しを求める再審が行われ、男性は二〇一九年に再審で無罪となりました。長い服役期間を経てから、無罪が言い渡されたことになります。
男性の遺族は、この事件をめぐる一連の捜査には違法性があったとして、国と県に対して損害賠償を求める裁判を起こしていました。捜査や証拠の取り扱いの過程に問題があったと訴えた形です。
一審の熊本地裁は、無罪につながる証拠を検察側が裁判所に提出しなかったなどとして、国の違法性を認めました。その一方で、警察の捜査そのものについては違法性を認めず、判断が分かれる内容となりました。
この一審判決に対しては、原告側と被告側の双方が控訴し、審理の舞台は福岡高裁に移っていました。国の責任の範囲や、県の責任の有無などが、控訴審で引き続き争われることになりました。
福岡高裁は、国に加えて県についても違法性を認め、合わせておよそ二千三百八十万円の賠償を命じました。一審よりも県の責任にまで踏み込んで違法性を認定した判断となり、再審無罪となった事件をめぐる国と自治体の責任のあり方があらためて問われることになりました。
