大阪地方裁判所は、捜査中の住宅から現金を持ち去ったとして占有離脱物横領の罪に問われた元警察官の後藤新被告に対し、拘禁刑八か月の実刑判決を言い渡した。警察官という立場にありながら職務の中で起こした犯行であり、社会の信頼を大きく損なったとして、法廷では量刑をめぐって厳しい判断が示される結果となった。
判決などによると、後藤被告は三月、変死事件の捜査が行われていた堺市南区の集合住宅の一室から、現金一千万円余りを持ち去ったとされる。捜査の現場として立ち入りが続いていた部屋で、本来であれば手をつけてはならない現金に及んだ行為であり、検察はこれを占有離脱物横領の罪に問うた。
これまでの裁判で、後藤被告は起訴された内容を認めたうえで、警察への信頼を傷つけてしまったなどと述べ、法廷で謝罪の言葉を口にしていた。捜査に携わる立場でありながら、自らその信頼を裏切る結果を招いたことを、本人も認める内容の供述だったとされる。
検察側は、後藤被告が職務上の権限を悪用して犯行に及び、国民の警察に対する信頼を損ねたと指摘した。そのうえで、警察官による犯行としての悪質性は高いと主張し、拘禁刑一年を求刑して、厳しい処罰を求めていた。
これに対し大阪地裁は、警察官の立場で職務中に起こした犯行であることを重く見て、非難の度合いは相当に高いと指摘した。すでに免職処分を受けるなど社会的な制裁を受けている事情を踏まえても、実刑はやむを得ないとの判断を示した。
こうした事情を総合的に考慮したうえで、裁判所は後藤被告に対し、拘禁刑八か月の実刑判決を言い渡した。検察が求刑した一年を下回る量刑となったものの、執行猶予の付かない実刑が選択された点には、警察官による不祥事に対する裁判所の厳しい姿勢がうかがえる内容となった。
