佐賀県警の科学捜査研究所、いわゆる科捜研で発覚したDNA型鑑定の不正問題をめぐり、警察庁が特別監察の結果を明らかにした。それによると、これまで明らかになっていた件数に加えて、新たに百十件の不適切な取り扱いが確認されたという。鑑定という捜査の根幹に関わる部分で、当初の把握を大きく上回る規模の問題が浮かび上がった形である。
警察庁の説明によれば、佐賀県警の元職員によるDNA型鑑定の不適切な取り扱いは、種類にして二十種類、件数にして合わせて二百三十九件に上ることが確認された。一人の職員が手がけた鑑定の中に、これだけ多様かつ多数の不適切な事案が含まれていたことになり、問題の根深さがうかがえる結果となっている。
今回確認された件数は、佐賀県警が自ら行った調査の結果よりも百十件多い。つまり、県警の内部調査では把握しきれていなかった不適切な事案が、警察庁による外部からの監察によって新たに洗い出された形である。身内の調査だけでは全容に迫れていなかったことが、数字の差として表れている。
確認された事案のうち三十七件については、捜査への影響があったかどうかが現時点では不明だという。DNA型鑑定は、容疑者の特定や事件の立証を左右しかねない重要な証拠であるだけに、これらの不適切な取り扱いが個々の事件の捜査や判断にどう影響したのかが、今後の大きな焦点となる。
警察庁は、佐賀県警がみずから実施した調査そのものについても、不十分な点が認められたと指摘している。県警側もこの指摘を大変重く受け止めているとしており、不正そのものに加えて、それを検証するはずだった内部の調査体制の甘さまでもが、改めて厳しく問われることになった。
一連の問題を受けて、佐賀県警の福田本部長は、昨日付けで警察庁から指導を受けたということである。組織のトップに対して指導が行われるという異例の事態となっており、佐賀県警には、原因の究明と再発の防止、そして失われた鑑定への信頼の回復に向けた、踏み込んだ対応が求められている。
