初夏の山で山菜採りをしていた高齢者の遭難が相次いでいる。長野県では、山で遭難したという七十代の男性からの要請を受けて、長野県警察の山岳遭難救助隊が出動した。男性が遭難したのは、初夏に採れる山菜である根曲がり竹を採りに山へ入っていたときのことだった。足元には採った山菜の入った袋が置かれていた。
救助の現場では、救助隊員が男性に対し、この場所からでは引き上げられないため少し移動してほしいと伝え、採った根曲がり竹は持っていけないと諭す場面があった。男性は、採った根曲がり竹を家族に配るという理由で持ち帰ろうとしていた。遭難するのは二度目だと話しながらも、男性はしぶしぶ根曲がり竹を諦めることになった。
実は、山岳で遭難する人の多くが高齢者だという。山で遭難する人は年間およそ三千三百人にのぼり、そのうちの半数を六十歳以上が占めている。さらに死者や行方不明者に限ると、六十歳以上の割合は六十四パーセントに及ぶ。こうした実情を踏まえ、長野県警は高齢者本人だけでなく、その家族に対しても注意を呼びかけている。
家族に向けた具体的な注意点として、救助隊などは三つの点を挙げている。高齢者を一人で入山させないこと、どこへ行くのか行き先を確認しておくこと、そして必要な装備をきちんと持たせることである。万一に備えて、家族の側でも準備や声かけを徹底することが事故の防止につながるとされている。
身近な低い山でも油断はできない。八王子市によると、高尾山の登山客は年間およそ三百万人にのぼり、世界一とも言われている。都心から近く、標高が五百九十九メートルと低い山であるため、高齢者も多く訪れる。手軽に登れる山として親しまれている一方で、その身近さゆえの危うさも指摘されている。
ただし、夏の山では六十歳以上の遭難者が増加傾向にある。高尾山では去年の遭難者が四百十人にのぼり、五年前のおよそ一・六倍に増えたという。五年ほど前に登ったという人は、狭い道もあり、仲間が岩場で足を滑らせて怪我をしたことがあるため、それ以来とくに気をつけるようにしていると話していた。
では、山で遭難してしまったらどうすればよいのか。ある救助の事例では、息子からの要請を受けて救助隊が出動し、遭難していた八十代の女性を救助した。女性は沢を下ってきた際に足を滑らせ、水浸しになっていた。救助隊によると、人は道に迷うと沢を下る傾向があり、命の危機に陥る恐れがあるという。迷ったときは下るのではなく、登り返すことが重要だと警鐘を鳴らしている。
