政府が、首都直下地震による被害を大幅に減らすための新たな対策を打ち出した。想定される犠牲者を今後10年で半分以上減らすことを目標に掲げ、具体的な取り組みとして189の目標を設定した。揺れそのものへの備えだけでなく、地震による火災対策が、その大きな柱の一つとなっている。
首都直下地震では、甚大な被害が想定されている。政府の想定によると、犠牲者は1万8000人に上るとされる。さらに、そのうちのおよそ6割は火災が原因になるとみられており、揺れそのものよりも、その後に起きる火災が人命に直結する大きな脅威となっている。
こうした被害想定を踏まえ、政府は減災に向けて具体的な数値目標を打ち出した。今後10年で犠牲者を半分以上減らすことを目指すとして、189個の新たな目標を設定した。漠然とした備えにとどまらず、項目を細かく定めることで、対策の実効性を高めようとする狙いがうかがえる。
火災対策の中でも特に重視されているのが、感震ブレーカーの普及だ。感震ブレーカーは、地震の揺れを感知すると自動でブレーカーを落とす仕組みで、電気による火災を防ぐ効果が期待される。現在の設置率は20%にとどまっているが、政府はほぼ全ての家庭への設置を目指している。
感震ブレーカーの普及を進める背景には、電気火災を減らしたいという狙いがある。地震の後に発生する火災の中には、電気が原因となるものが少なくないとされ、自動で電気を遮断する仕組みを各家庭に広げることで、出火そのものを抑えようという考えだ。火災が広がる前の段階で食い止める発想である。
自治体レベルでも、独自の取り組みが進んでいる。木造住宅が密集している足立区は、独自の補助金を出して感震ブレーカーの普及に取り組んでいる。住宅が密集する地域では、ひとたび火災が起きれば延焼が広がりやすいため、こうした対策の重要性はとりわけ高いとされる。
足立区はさらに、踏み込んだ対応の必要性も訴えている。区内では新築住宅も増えていることから、感震ブレーカーの設置を義務化する必要があると主張している。補助による普及だけでなく、制度的な義務化まで視野に入れることで、地震火災への備えを一段と強化しようとする動きだ。
