政府が、ストーカーの加害者にGPS機器の装着を義務付けることなどを柱とする、新たな対策をまとめる方針を固めた。来週にも犯罪対策閣僚会議を開き、緊急対策を取りまとめる方向で、深刻化するストーカー被害を受けて、加害者の接近を抑止するための新たな仕組みづくりを急いでいる。
今回、対策の強化に踏み切るきっかけとなったのは、今年三月に東京・豊島区の商業施設で起きたストーカー殺人事件だった。この事件を受けて、五月には自民党が政府に対策を提言しており、高市総理大臣もかねてからストーカー対策に強い意欲を示していた。
新たな対策では、接近禁止命令を受けた加害者のうち、とりわけ悪質なケースを念頭に、GPS機器の装着を義務付けることなどが盛り込まれる見通しだ。加害者の居場所を常に把握できるようにすることで、被害者への衝動的な接近や報復を未然に防ぐことが狙いとされている。
制度の設計にあたって参考とされているのが、二千二十三年から同様の仕組みを導入している韓国の事例である。韓国では、ストーカーの加害者にGPS付きの電子足輪の装着を義務付けており、加害者が被害者に近づくと、被害者はアプリを通じて加害者の位置情報を確認できるようになっている。
韓国では、この制度の導入によって性犯罪の再犯率が二十分の一にまで減少するなど、再犯の防止に高い効果があったとされる。専門家は、電子足輪が衝動的な接近や報復の意思を抑える抑止装置として十分に機能していると評価している。
ただし、装着が強制されている韓国とは異なり、日本では加害者の人権への配慮から、電子足輪ではなくGPS端末を本人に持ち歩かせるという案が浮上している。被害者を支える立場からは、加害者の人権を守ること以上に、被害者の命を守ることを優先すべきだとの声も上がっており、政府は来週の閣僚会議に向けて、対策の実効性と人権への配慮の両立を迫られている。
