カンボジアを拠点とした特殊詐欺グループで、メンバーを集めるリクルート役を担っていた幹部とされる日本人の男が、出国の直前にタイで拘束された。海外を舞台にした特殊詐欺の摘発が相次ぐ中、その組織を支える中心的な役割を担っていたとみられる人物の身柄が押さえられた形だ。
拘束の瞬間は、タイの空港のカウンターでとらえられた。男が現地警察の捜査員らに取り囲まれる様子が確認されており、出国手続きを進めようとしたところで、その場から動けなくなった。逃亡を図ろうとした矢先に身柄を押さえられたことになる。
タイ警察は七日、カンボジアで特殊詐欺の拠点を運営したとされる菅原孝文容疑者を、バンコク近郊の空港で発見した。そして、入管法違反の疑いで拘束した。国外に身を置きながら詐欺グループを動かしていたとされる人物が、最終的に空港で足止めされた格好だ。
タイ警察の関係者などによると、菅原容疑者はグループの中で重要な立場にあったとみられている。具体的には、実際に被害者へ電話をかける役割を担う、いわゆる「かけ子」を集める幹部とみられているという。組織の人員を確保する要の役割を果たしていた可能性がある。
この特殊詐欺グループによる被害は、決して小さくない。これまでに十億円以上の被害が出ている可能性があるとされており、多くの人が金銭をだまし取られたとみられる。海外に拠点を構えることで摘発を逃れようとする手口が、改めて浮き彫りになった。
拘束の経緯も明らかになっている。菅原容疑者は、マレーシアに向かおうと空港に現れたところを押さえられたという。別の国へ移動しようとした動きが、結果的に拘束のきっかけとなった。出国を急ぐ中で、捜査の網にかかった形だ。
タイ警察は、菅原容疑者の身柄を今後、日本に移す方針だ。日本国内で被害が広がっているとされる事件だけに、帰国後の捜査で、グループの実態や被害の全容、ほかの関係者の存在などがどこまで解明されるかが焦点となる。海外拠点型の特殊詐欺に対する追及が、さらに進む可能性がある。
