現職の検事が刑事被告人として法廷に立つという、極めて異例の裁判が開かれた。ANN(テレビ朝日系)によると、田淵大輔被告は、みずからが担当した取り調べで相手を脅すなどしたとして特別公務員暴行陵虐罪に問われている。現職の検事が付審判によって刑事裁判にかけられるのは初めてで、被告として初めて法廷に立った田淵被告は、終始淡々とした様子で自身の主張を述べた。
検察がいったん不起訴とした事件が裁判にまで至ったのは、付審判という制度によるものだ。ANNによると、検察が下した不起訴処分を裁判所が改めて判断し直すよう求める付審判請求が行われ、裁判所がこれを認めたことで、田淵被告は刑事裁判にかけられることになった。この異例の裁判では、通常は検察官が担う訴追の役割を、裁判所が指定した弁護士が務めている。
事件の背景には、ある刑事事件をめぐる取り調べがある。ANNによると、田淵被告が取り調べていたのは、一貫して容疑を否認していた山岸さんの当時の部下だった。山岸さんが逮捕される決め手の一つとなったのは、この部下が取り調べの中で山岸さんの関与を認めたことだったという。しかし、その取り調べのあり方が、後に大きく問われることになった。
取り調べの正当性を、裁判所は厳しく評価した。ANNによると、裁判所は、長時間にわたって供述を迫るなどしたことで、元部下に必要以上に強く責任を感じさせ、真実とは異なる供述をさせかねなかったと指摘。元部下の供述は信用できないと判断した。その結果、起訴されていた山岸さんは無罪となり、取り調べの手法そのものに疑問が向けられることになった。
これを受けて、山岸さん側は刑事告発に踏み切った。ANNによると、山岸さんは、田淵被告が取り調べで元部下を脅迫したとして特別公務員暴行陵虐罪で刑事告発したが、検察は不起訴とした。その後、この不起訴処分を不服として付審判請求が行われ、裁判所が事件を裁判に付すことを認めたことで、田淵被告が被告人として法廷に立つ道が開かれた。
法廷で田淵被告は、容疑を全面的に否認した。ANNによると、田淵被告は、取り調べでの言動について、暴行や陵虐に当たるような行為や意図はまったくなかったと述べ、みずからの行為は特別公務員暴行陵虐罪には値しないとの考えを示した。被告として初めて臨んだ法廷でも、その態度は終始落ち着いていたという。取り調べの適正さをめぐる主張が、真っ向から対立する構図となった。
裁判は、双方の主張などを経て、およそ三時間で終了した。ANNによると、その後、検察官役を務める弁護士が記者会見を開いた。現職の検事が付審判によって刑事責任を問われるのは初めてであり、取り調べの適正さや、供述をめぐる検察の姿勢に改めて関心が集まっている。今後の審理で、取り調べの実態がどこまで明らかになるかが焦点となる。
