中国による軍事的圧力が高まる中、台湾で中国軍の攻撃を想定した大規模な軍事演習が行われている。街の様子は一変し、地対空ミサイルが配備されたほか、一般道では車両が列をなして移動する様子が見られた。台湾軍は即応体制の強化を進めている。
演習では、実戦さながらの想定に基づく訓練が展開された。空軍の訓練は、破壊された滑走路を修復したうえで戦闘機が緊急発進するという内容だった。台湾統一を歴史的な責務と位置づける中国共産党の脅威が収まる気配はなく、備えを固める狙いがあるとみられる。
近年、中国軍は台湾海峡だけでなく、台湾全土を包囲するような大規模な演習を繰り返してきた。そうした演習などを装って攻め込んでくる、いわゆるグレーゾーン戦術が危惧されており、台湾側が臨機応変に対応できるかどうかが問われている。
今回、初めて行われた訓練の一つが橋の封鎖だった。封鎖されたのは、台北近郊の海沿いにかかる淡江大橋で、全長は九百二十メートル。今年五月に開通したばかりの新しい橋である。
この橋で封鎖訓練が行われたのには理由がある。橋が突破されれば、総統府への最短ルートが開け、台湾中枢への脅威に直結しかねないためだ。訓練には頼清徳総統自らも臨んだとされ、中国軍が総統府への襲撃演習を行っているとされる中、台湾のトップが狙われる事態への備えでもある。
市民生活の場でも訓練は行われた。サイレンが鳴れば、街から人の姿は消える。全員が防空壕へと避難するためだ。有事の際にどう身を守るかを、住民が実際に体験する形となった。
想定されているのは物理的な攻撃だけではない。中国軍からサイバー攻撃を仕掛けられ、インターネットの回線速度が極度に遅くなった場合に備えた訓練も行われるという。あらゆる事態を見据えた演習が続いている。
