大阪·関西万博の建設工事をめぐり、下請け業者に工事代金を水増しして請求させ、勤め先の会社に損害を与えたとして、竹中工務店の元所長、河合辰巳容疑者が逮捕された。会社に与えた損害はおよそ千三百七十万円に上るとされ、大きな国家的行事である万博の工事現場で不正な経理が行われていた疑いが浮かび上がった形だ。捜査当局はその実態の解明を進めている。
河合容疑者は万博の工事で現場を統括する立場にあり、その権限を背景に不正に関わった疑いが持たれている。警察によると、河合容疑者は下請け業者に対し、工事代金を実際よりも水増しして請求するよう求めていたとされる。しかも一度きりではなく、繰り返し水増し請求をさせていたとみられ、警察はその経緯を詳しく調べている。
水増しによって生み出された資金の使い道も、捜査の中で明らかになりつつある。関係者によると、河合容疑者はこの資金を使って自宅のリフォーム工事をおよそ一千万円で発注していたという。さらに、水増し請求させた費用は、河合容疑者の自宅だけでなく、親族が経営するカフェのリフォームなどにも充てられていたとみられている。
こうした私的な工事の費用を、表向きは正当な支出に見せかけるための工作も行われていたとされる。河合容疑者は、自宅のリフォームを請け負った業者に対し、あたかも万博の工事であるかのような名目で請求書を作成するよう指示していたということだ。万博という公的な事業の看板が、私的な出費を覆い隠すために使われていた疑いが強まっている。
請求書の作成に応じたリフォーム業者は、ABCテレビの取材に対し、当時は不正だとは考えず「節税対策だと思った」と説明している。工事の名目を偽ることの重大性がどこまで認識されていたのかも、今後の捜査で問われることになりそうだ。関係する業者の説明は、不正がどのように広がっていったのかを読み解く手がかりともなっている。
その後の捜査関係者への取材で、水増し請求の規模はさらに大きいものだった可能性が明らかになった。河合容疑者が下請け業者にさせた水増し請求は、総額で六千万円以上に上るとみられることが分かったのだ。会社に計上された損害額を上回る資金が、不正な請求を通じて動いていた疑いが浮かんでいる。
警察は、河合容疑者が万博関連の工事をめぐり、業者に対して繰り返し水増し請求をさせていたとみて捜査を進めている。国内外から注目を集めた大阪·関西万博の裏側で、こうした不正がどこまで及んでいたのか、そしてどのような形で資金が流れていたのか、全容の解明が焦点となっている。捜査当局は関係者への聞き取りを重ね、事実関係を慎重に確認している。
