北アルプスの槍ヶ岳で、単独で登山していて行方が分からなくなっていた男子大学生が、九日朝、遺体で発見された。長野県警のヘリコプターが標高約二千二百五十メートルの北鎌尾根付近で見つけ、収容した。県警はその後、行方不明になっていた長野県南箕輪村の十九歳の男子大学生と確認した。
県警によると、遺体が見つかったのは九日午前七時半ごろだった。槍ヶ岳の北側に延びる北鎌尾根の付近で、尾根から下った急な斜面に倒れているのを、上空から捜索していたヘリコプターが発見した。男子大学生は頭部に大きな損傷があり、県警は足を滑らせて滑落した可能性があるとみて、詳しい状況を調べている。
この男子大学生は今月六日、一泊二日程度の予定で単独で山に入っていた。しかし、下山する予定の日を過ぎても自宅に戻らず、連絡も取れない状態が続いたため、家族が警察に届け出ていた。県警はこれを受けて、槍ヶ岳の周辺で捜索を続けていた。
遺体が見つかった北鎌尾根は、槍ヶ岳へ至るルートの中でも熟達者向けの難所として知られる。切り立った岩場が連続し、岩をよじ登る技術に加えて、自分で進む道を見極める高度なルートファインディングの力が求められる。整備された一般的な登山道とは異なり、道標も限られている。
北鎌尾根ではこれまでにも滑落や転落による死亡事故が繰り返し起きており、経験の浅い登山者には危険が大きい区間とされる。今回の男子大学生が単独で入山していたことから、県警は入山してからの足取りや、遭難した経緯についても調べを進めている。
夏山シーズンの北アルプスには、槍ヶ岳を目指す多くの登山者が訪れる。標高の高い稜線は天候が変わりやすく、足場の悪い岩稜帯では、わずかなバランスの崩れが滑落につながる危険がある。単独での登山の場合、事故が起きても発見や救助が遅れやすいとされる。
家族からの届け出を受けて続けられていた捜索は、痛ましい結果となった。県警は、亡くなった男子大学生の身元をあらためて確認するとともに、滑落したとみられる詳しい状況の解明を進めている。夏の登山シーズンが続くなか、山岳での遭難への警戒が改めて求められている。
