ニューヨーク・ファッションウィークで浮上した新色、セレブリティが示すデニムの新常識、そして高級ブランドが採用するモチーフ。その3つが、今季のモードシーンを定義し始めている。
2026年10月、ニューヨークの街角では、長年愛されてきたチョコレートブラウンの存在感が、静かに後退しつつある。インスタイル誌が報じた通り、ファッションウィークのランウェイでは、深い青とペトロール、そしてわずかな緑のニュアンスが混ざり合った「ピーコックブルー」が、冬の定番カラーを揺るがす存在として注目を集めているのだ。
この色は、従来のペトロールよりも鮮烈でありながら、コバルトブルーのような刺々しさはない。レトロフェットやプロエンザ・シュウラーなどのブランドが、この色を主軸に据えたコレクションを発表し、冬の装いに必要な「重厚さ」と「鮮烈さ」を両立させている。ブラウンとベージュの定石が、この一枚で覆される兆候だ。
白デニムが冬の主役へ
デニムの常識もまた、今季は大きく書き換わりつつある。インスタイル誌の報道によれば、ソフィ・ターナーやジョセフィン・スクリヴァーといったセレブリティが、冬の街中で堂々と白いデニムパンツを履いている姿が捉えられている。
かつては医療現場や夏限定のイメージが強かった白色だが、今季のトレンドでは「effortless elegance(effortless なエレガンス)」の象徴として再評価されている。ソフィ・ターナーは、トレンドカラーのブラウンのモヘアセーターと、トーンオントーンなスクエアトゥブーツで白デニムをスタイリング。ジョセフィン・スクリヴァーは、パリで全身ホワイトデニムにグレーのスニーカーを合わせる大胆な試みを見せた。
白デニムは、冬の重たいトップスやアウターを軽やかに引き締め、視覚的な開放感をもたらす。従来のブルーデニムが「安心感」を求めているなら、白デニムは「自信」と「モダンさ」を求めている人たちのための選択肢として、今季のワードローブに欠かせない存在になりつつある。

蝶の紋様が高級感を変える
アニマルプリントの復権は、単なるヒョウ柄やゼブラ柄にとどまらない。ニュース18の報道によると、アナーヤ・パンデイがシャネルの2026年秋冬コレクションから選び抜いた一着が、その潮流の最先端を示している。
シャネル ビューティ ディヴァリ フェスティヴ ディナー 2026にて披露されたこのドレスは、夜の蝶にインスパイアされた刺繍があしらわれた赤と黒のシルクニット素材で仕立てられている。価格はなんと12,090ポンド、日本円換算で約154万円の超高額品だ。
蝶というモチーフは、従来のアニマルプリントよりも繊細で芸術的であり、シャネルのような高級ブランドが「夜の蝶」をテーマに据えることで、アニマルプリントは「派手な柄」から「高貴な装飾」へと昇格した。15万円という価格帯は、このトレンドがいかにハイエンドな領域で語られているかを如実に示している。

「何もしない」が最上の贅沢
ネイルのトレンドもまた、過剰な装飾から離れ、極限のミニマルさを追求する方向へ進んでいる。ウィメン誌が紹介した通り、メグアン・マークルやパメラ・アンダーソンといったセレブリティが、マニキュアを一切使わない「ノー・マニキュア」ルックを愛用している。
ネイルアーティストのジュリー・カンダレックは、この潮流を「完璧な手元と爪のルックを求める人々が増えている」と分析する。マニキュアを塗るのではなく、キューティクルを整え、爪の形状を美しく保つこと自体が、新しい「クワイエット・ラグジュアリー」の象徴になっているのだ。
この「何もしない」風貌は、実は多大なケアと技術が必要とする。マニキュアで色を隠すのではなく、爪本来の美しさを引き出すことは、肌ケアと同じく「健康で光沢があること」を重視する現在のビューティ意識を反映している。

機能美がドレスシューズへ
足元のトレンドも、スポーツとフォーマルの境界を曖昧にする方向へ動いている。GQ Japanの報道によると、ニューバランスとジュンヤ ワタナベ マンのコラボレーションモデル「P400」が、10月16日に限定発売される。
このシューズは、パフォーマンスバスケットボールシューズをベースにしながら、プレミアムなレザー素材のアッパーと未来的なソールユニットを融合させている。テーマは「THE BEST, DRESSED」。単にドレスアップするのではなく、ジュンヤ マンのスタイルをアップデートするという意図が込められている。
価格帯は52,800円。スポーツシューズの機能性と高級レザーの質感が共存するこの一足は、フォーマルな装いに「動き」と「現代的なテック感」を加えるための、2026年秋冬の足元の主役になるだろう。
海岸線のノスタルジー
最後に、2026年秋冬の空気感を決定づける「コースタルグランマザー」の美学に触れたい。ハロー・マガジンの記事によれば、このトレンドは、海岸沿いの暮らしからインスピレーションを得た、やや eccentric なファッション感覚を指す。
ドリス・ファン・ノッテンがキットシーなカラフルなニットにダッフルコートを合わせ、トッズは鮮やかなマスタードカラーのオーバーサイズレインコートを発表。プラダは膝丈スカートに夕焼け色の編み込みスカーフを合わせるなど、ランウェイ全体が「海辺の秋」を演出していた。
このトレンドは、従来の「マリンルック」よりも、より文学的で、少し melancholy なムードを帯びている。シープウールの保温性、カシミヤの柔らかさ、そして濡れた髪のような質感。都市に住む私たちにとって、この「海岸線のノスタルジー」は、冬の装いに温もりと物語性を加えるための、最も手頃で効果的な手法となるだろう。
よくある質問

Keep subscribing to 佐々木成美Her next filing reaches you the moment it publishes, on her own subdomain.
Subscribe
