軽井沢での学会で注目を集める「視る力」の科学と、その日常への応用
2026年11月7日と8日、軽井沢プリンスホテル ウエストで開かれる第37回日本臨床スポーツ医学会学術集会の会場には、筋力や持久力といった定石とは異なる議論が飛び交う。株式会社エイジェックが提唱するのは、競技中に視覚情報を瞬時に処理し、判断や動作へ変換する「視る力」である。プロのアスリートに限らず、私たちの日常の安全や生活の質(QOL)を左右するのは、実はこの目と脳が連携して情報を読み解く速度と精度にある。
エイジェックグループが志向するのは、スポーツ科学と医療の知見を統合し、競技力向上にとどまらない健康づくりの支援基盤だ。今回の出展では、動体視力、眼球運動、周辺視、瞬間視の4要素からなる「視る力」を測定するアプリ「ARROWZ EYE」の体験を通じて、その科学的根拠と、医療現場や健診サービスとの連携可能性を具体的な形で提示する。
「視る力」の科学的定義と測定
「視る力」とは、眼鏡の度数を決める屈折率や矯正視力とは全く別の概念だ。エイジェックグループの定義では、動体視力、眼球運動、周辺視、瞬間視の4つの視機能が軸となる。ボールの軌道予測や視野の端の動き捕捉など、脳と目の複雑な連携によって成り立つプロセスであり、スポーツの場面では0.1秒単位の判断を左右する。
アプリ「ARROWZ EYE」は、これらの視機能を定量的に測定・評価するツールとして機能する。従来の健診では測定されることが少なかった指標を、スマートフォンやタブレット上で簡単にチェックできる点は、医療アクセスの民主化を進める上で大きな意味を持つ。測定結果は単なる点数ではなく、個々の弱点や得意領域を可視化し、トレーニングや改善の方向性を示すデータとして活用される。

スポーツ医学と科学の融合
第37回学術集会のメインテーマ「Sports medicine for all」は、スポーツ医学の知見を一般社会へ広めることを目指している。エイジェックグループもこの流れに沿い、スポーツ科学で培ったデータを、医療・健診・健康経営など幅広い分野へ展開する構想を提示する。具体的には、従来の健康診断データに体力や視機能の測定データを組み合わせることで、より多角的な健康状態の把握を目指す。
このアプローチの利点は、単なる「測定」に留まらず、フィードバックと行動変容、そして継続的な支援へとつながる仕組みを作れる点にある。例えば、視機能の低下が運動時のバランス崩れや転倒リスクに関わっている場合、適切なフィードバックとトレーニングによって改善が見込める。データに基づく個別最適化されたサポートが、アスリートの競技力向上だけでなく、一般市民の健康寿命延伸にも貢献すると期待されている。

次世代健診センターの構想
エイジェックグループのアルファビリティ株式会社が手がける医療機関向け運営支援や、医療現場と健康管理を支えるサービスは、この構想を実現するための基盤となっている。次世代健診センターの構想では、PHR(パーソナルヘルスレコード)コネクトを通じて、個人の健康データを統合し、生活習慣病の予防や早期発見をサポートする。
従来の健診は、数値の異常を指摘する「検診」に特化していた。しかし、次世代健診では、その数値がどういった生活習慣や身体機能に影響しているのか、そしてどう改善すればいいのかを提案する「支援」に焦点を当てる。視機能の測定を含む多面的なデータ活用により、一人ひとりの健康状態を深く理解し、持続可能な健康づくりを支援する仕組みが構築されていく。

ランチョンセミナーで深める視点
11月8日(日)12時30分から13時30分まで開催されるランチョンセミナー「アスリートの視力を科学する」では、医療における視力へのアプローチと、ARROWZ EYEを活用した測定・評価について、より詳細に解説される。スポーツ医学とスポーツ科学、それぞれの専門的知見を組み合わせることで、視機能の測定からトレーニング、そしてパフォーマンス向上に向けた実践の可能性を探る。
このセミナーは、学術集会に参加する医療関係者や研究者だけでなく、スポーツ科学に関心を持つ一般の方も、視機能という切り口から健康を考えるきっかけを得られる貴重な機会となる。アスリートの視力を科学するプロセスは、実は私たち一般人の日常の安全や効率にも通じるものだ。今回の発表を通じて、スポーツ医学の知見がどのように私たちの生活に寄り添うのか、その一端を垣間見ることができる。
健康づくりの未来像
エイジェックグループの取り組みは、スポーツ科学と医療の境界を溶かし、すべての人の健康とQOLの向上を目指すものだ。測定・評価からフィードバック・行動変容・継続支援へとつながる仕組みづくりは、単なる技術の提供を超え、社会全体の健康意識の変革を促す可能性がある。
今後、スポーツ科学で培われた知見が、年齢や競技経験を問わず、一人ひとりが健康でいきいきと活躍できる社会の実現に貢献していくことが期待される。軽井沢での学術集会は、その変革の始まりに過ぎない。「視る力」という視点から健康を考えることは、私たちの日常をより豊かで安全なものにするための、重要な一歩となるだろう。
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