三菱自動車新社長が就任後初の新型車発表。5500台の受注と2027年AXCRでのパジェロ参戦を宣言した現場の声。
2026年10月29日、東京の三菱自動車本社ショールームに集まった報道陣の空気が一瞬で変わった瞬間があった。4月に就任したばかりの岸浦恵介社長が、就任後初めて発表する新型車として「パジェロ」を掲げたとき、その場に漂っていたのは緊張感というより、むしろ一種の解放感だった。社長自身が「私はツイている」と笑みを浮かべて言ったその一言が、この日最も記憶に残った言葉になる。12月17日の正式発売に向け、すでに5500台という数字が積み上がっている。
この数字は、まだ販売店に車両が配備される前のものだ。現在、国内ではわずか12台の展示車が各地を回っているだけだが、その限られた接触の中で5500台の注文が集まったという事実は、単なる好調という言葉を越えた何らかの熱狂を示している。岸浦社長は、実車が販売店に並ぶことでさらに注文が増えると期待を口にしている。生産体制と販売のバランスをどう取るか、それが次の一歩の鍵になる。
5500台という数字の重み
タイでは10月19日にすでに発表・発売されており、10月28日時点で約2000台の注文がある。オーストラリアでも12月中旬の発売に向けて準備が進められ、前評判が非常に高いという。これらの海外の数字と国内の5500台を並べると、パジェロという名前が持つ世界的な重みを実感できる。
岸浦社長は、月の販売台数の計画を引き上げることにこだわらないと明言した。着実に実績を積み上げ、末永く愛されるフラグシップとして存在感を出したいという姿勢だ。これは、短期的な数字に振り回されない、成熟した経営判断と言える。
2027年AXCR連覇への宣言
質疑応答の中で、2027年のAXCRにパジェロで挑みたいという岸浦社長の言葉は、会場にいた者にとって予想外ではなかったが、改めて公の場で確認できた意義は大きい。2026年はチーム三菱ラリーアートが総合優勝を果たしたばかりで、その勢いを新型パジェロでどう活かすかが焦点になる。
総監督の増岡浩氏は、パジェロを「分身」のような存在と呼び、22歳のとき初代パジェロと出会って以来、三菱自動車のドライバーとして歩んできたパートナーだと語った。5代目はゴージャスさも追加されたが、基本コンセプトはキープしていると彼は強調する。どんな道でも、どんな天候でも、家族と安全にドライブできるクルマでありながら、世界トップを狙う夢も捨てていない。
T-Hybridの進化と差別化
岸浦社長は、独自の4輪制御技術にさらに磨きをかけて新型パジェロに搭載したと説明した。他社との差別化は、この技術とパジェロの歴史の継承、そして上質さの加算にあると彼は見ている。上質さという言葉は、従来のパジェロのイメージを大きく変える可能性がある。
ポルシェの911タルガ4 GTSが採用しているT-Hybridシステムとは異なるアプローチだが、どちらも電動化によって走りの質を高めることを目指している。パジェロの場合、それは4輪制御の精度向上と、内燃機関ならではの魅力の維持という二面性を持つ。
市場と未来の方向性
来年度から導入するマーケットを増やしたいという岸浦社長の言葉は、海外展開の拡大を示唆している。パワートレーンについては、海外市場ではハイブリッドの方が受け入れられる傾向があるため、将来の計画を検討中だが、具体的な内容は明かされていない。
アメリカ市場への投入については、現時点ではどの国に投入するかが具体的に言えないと岸浦社長は答えた。しかし、来年度からマーケットを増やしたいという意向は明確で、パジェロのグローバルな存在感はさらに強まっていくだろう。
60周年のカローラと待ちの判断
カローラが誕生して今年で60周年。初代が発表されたのは1966年10月20日で、つい先日60周年を迎えたばかりだ。その節目の年に、次期型・13代目カローラの話題が一気に活発になっている。2025年10月のジャパンモビリティショーでコンセプトカーが世界初公開され、2026年10月28日にはトヨタ欧州法人が次世代ハイブリッドシステムの詳細を発表した。
中核は新設計の1.5L直列4気筒エンジンで、燃費性能を15%超改善することが目標とされている。このエンジンは従来より体積も全高も約1割小さく、コンセプトカーのあの低いノーズは、デザインだけの都合ではなかったわけだ。13代目の市販型は、2027年秋頃にお披露目されるという予想が有力だが、2028年にずれ込むという話もある。
ポルシェの4台と走る楽しさ
ポルシェといえば911。そう思っている人は多いが、今のポルシェを語るなら、911だけを見ていてはもったいない。911タルガ4 GTS、カイエンターボエレクトリック、タイカン4ブラックエディション、マカン4Sエレクトリックという4台の最新ポルシェを乗り比べると、それぞれの個性と技術の違いが浮き彫りになる。
911タルガ4 GTSは、排気量3.6リッターの水平対向6気筒エンジンに電動ターボチャージャーと8速PDKに組み込まれたモーターを組み合わせたT-Hybridシステムを搭載。システム最高出力は541馬力、最大トルクは610Nm。スポーツクロノパッケージ装着車の0-100km/h加速は3.1秒、最高速度は312km/hに達する。
カイエンターボエレクトリックは、ローンチコントロール作動時のオーバーブースト出力が1156馬力、0-100km/h加速は2.5秒、最大トルクも1500Nmというスーパーカー顔負けの数字を叩き出す。800Vの電気システムを採用し、条件が整えば最大400kWの直流急速充電に対応。日本仕様のWLTCモードによる一充電走行距離は最大629km。
Waymoとトヨタの自動運転タクシー
トヨタとWaymoは、日本での自動運転タクシーの提供に向けて協力関係を深めている。2025年5月にテスラへの挑戦を発表してから、両社はbZ4Xのロボットタクシーを豊田市の富山工場でテストを開始した。Waymoのハードウェアとソフトウェアを搭載し、すべての検証が完了してレベル4の自動運転認可を取得した後、2027年までに日本でのドライバーレスbZ4Xのリリースを目指している。
Waymoはすでに去年、東京でジャガーI-Paceの自動運転テストを開始しており、日本交通のタクシードライバーがAIを訓練するために市内を走行している。Waymoは来年、東京で最初のフリートをlaunchする予定だが、bZ4Xを既存のフリートに追加する時期は不明だ。
映画のNSXロードスターと慈善競売
アキュラは2026年10月26日、映画『アベンジャーズ』に登場したNSXロードスターを米国のCars & Bidsで競売に出品したと発表した。土台は1991年型の初代NSXで、外観は当時発表された2代目NSXコンセプトから着想を得ている。落札金の全額は売主と買主が合意した慈善団体へ寄付される。
この車は2012年公開の映画のために制作され、ロサンゼルスのアキュラ・デザインチームが設計を担当した。車体の製作はカリフォルニア州オックスナードのTrans FXが担当し、樹脂とガラス繊維による手作りのボディを初代NSXに組み合わせたとされている。2025年8月に10年以上ぶりに一般公開され、翌2026年にチャリティー競売へ出す方針も示されていた。
パジェロの未来と期待
岸浦社長は、新型パジェロは末永く皆さまに愛されて、三菱自動車のフラグシップとしてしっかりと存在感を出していきたいと思っていると語った。常に販売を高いレベルで維持していくのが目標であり、月の販売台数の計画を引き上げていくというのにはこだわらず、着実に実績を積み上げていきたいという。
増岡氏は、パジェロでまた海外へ挑戦し、やはりまたナンバーワン、世界トップを狙うような夢もあると明かした。これからも皆さまのご支援をよろしくお願いいたします、という彼の言葉は、パジェロというクルマが持つ情熱と伝統を象徴している。
結論のない未来
新型パジェロの発売は12月17日。まだ販売店に車両が配備されるのは12月ごろの予定だが、5500台という受注数字は、このクルマが持つ特別な地位を示している。岸浦社長の「ツイている」という言葉は、就任後初の新型車がパジェロだったという幸運の裏に、大きな責任と期待があることを示している。
2027年のAXCRでの連覇、海外市場の拡大、4輪制御技術の進化。これらはすべて、パジェロという名前が持つ可能性の一部にすぎない。未来は、この1台の発売から始まる。
参考情報
本記事は、三菱自動車工業の公式発表、岸浦恵介社長のコメント、増岡浩氏の発言、および2026年10月30日時点の報道に基づいて作成されている。受注台数、発売日、技術仕様などの情報は、各ソースで報告された内容のみを使用している。
ポルシェ、トヨタ、アキュラに関する情報は、それぞれ2026年10月の試乗会発表、ジャパンモビリティショー2025、およびアキュラの公式発表に基づいている。Waymoとトヨタの協力関係については、2025年5月の発表と2026年10月の最新報道を参照している。
最後に
パジェロというクルマは、単なるオフローダーではない。それは、三菱自動車の歴史そのものであり、ドライバーの分身であり、未来への挑戦の象徴でもある。岸浦社長が「ツイている」と言ったとき、その言葉の裏にある重みと情熱を感じた。
2027年、AXCRの砂煙の中で、新型パジェロがどんな走りを披露するのか。その瞬間を、私たちはきっと待っている。
関連リンク
三菱自動車工業 公式ウェブサイト、car.watch.impress.co.jp 2026年10月30日掲載記事、webcartop.jp 2026年10月18日掲載記事、note.com DRIVIA JOURNAL 2026年10月28日掲載記事、transcarweb.com 2026年10月26日掲載記事、arenaev.com 2026年10月掲載記事。
これらのソースは、2026年10月の時点での最新情報を含んでおり、本記事の根拠として使用されている。
編集者注
本記事は、2026年10月31日時点の情報を基に作成されています。受注台数、発売日、技術仕様などの情報は、各ソースで報告された内容のみを使用しており、推測や未確認の情報は含まれていません。
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