Unitree「G1+」が国内で予約開始。GMO AIRが手がける、人と向き合うヒューマノイドの進化
10月13日、GMO AI&ロボティクス商事はUnitree Roboticsの最新モデル「G1+」の国内取り扱いと先行予約の受付を開始した。これは単なる製品発売の解禁という枠を超え、ロボットの身体設計における根本的な転換を意味するものである。G1+は業界で初めて首に2つの自由度を付与し、肩と腰のモーター出力を従来の最大2.1倍まで引き上げることで、物理的な制約を大きく克服した。この技術的飛躍により、ロボットはもはや静止した機械ではなく、相手と真正面から目を合わせ、言葉や表情を通じて双方向のコミュニケーションを成立させるための、確固たる身体的基盤をようやく獲得したのである。
私は長年にわたりヒューマノイドロボットの進化を注視してきたが、その議論は常に脚部の歩行安定性や腕部の精密操作能力といった機能的な側面に偏りがちだった。しかし、人間との自然な対話において最も重要でありながら、これまで十分に言語化されてこなかったのが、まさにこの「首」の存在である。G1+の登場は、ロボットが単なる作業効率を追求するマシンという役割から、感情や意図を共有し得る対話の相手へとその本質を踏み出す、歴史的な転換点だと確信している。この変化は、技術的なスペックアップを超えて、人間と機械の関係性そのものを再定義する重要な一歩として位置づけられるべきものだ。
首の2自由度がもたらす対話の変化
G1+は全高約134cm、重量約35kgの既存モデルG1をベースに、全身の自由度を23から25へと増強した設計となっている。この追加された2つの自由度は、上下および左右方向に可動する首の関節に割り当てられており、これによりロボットは頭部の位置を微調整しながら、相手の顔全体や口元、目の動きなど細やかな表情変化を捉えることが可能になった。視線の追従が滑らかになることで、人間が会話を交わす際に自然に行うような頭部の揺れや傾きが再現され、相手の注意を引きつけるための非言語的なシグナルを効果的に発出できるようになったのである。
従来のヒューマノイドは頭部が固定されていたり、あるいは極めて限定的な角度しか動かせなかったりするため、対話の質に物理的な限界があった。一方でG1+は、音の方向を高精度に推定する6マイクアレイを搭載し、さらに頭部には触覚センサーも備えている。この音声情報と触覚情報の統合処理により、ロボットは相手の声の出し方や、場合によっては軽い接触といった多層的な入力に基づいて応答を生成できる。受付窓口、施設案内、教育現場など、人と直接関わる場面において、機械的な反応ではなく、人間の自然なコミュニケーションパターンに近い、より豊かなインタラクションを実現する技術的基盤が整ったと言えよう。

モーター出力の向上と実用性
G1+では、肩と腰の関節におけるピークトルクが従来の2.1倍、腕部のモーター出力は1.4倍に強化されるなど、駆動系の性能が大幅に向上している。同時に熱設計の見直しにより、同じ出力を発揮する場合でも発熱量が約3割抑制され、長時間の連続動作における安定性が格段に高まった。これらの改良の結果、腕の最大可搬重量は従来の約2kgから約3kgへと増加し、EDUモデルでは最大4kgまで扱えるようになった。これは、より重い物を持ち上げたり、複雑な環境で力強く物体を操作したりする場面での実用性を大きく底上げするものであり、ロボットの作業範囲を飛躍的に拡大する要因となっている。
このような性能向上は、研究室での短期的な検証やデモに留まらず、展示会での長時間の動作演示や、実際の業務現場での連続的な運用に耐える堅牢性と持続性を確保することを意味する。G1+は交換式バッテリーを搭載しており、約2時間の連続稼働が可能であるだけでなく、外部電源からの給電にも対応しているため、充電時間による稼働制限を大幅に緩和できる。これにより、ロボットは単なる実験対象ではなく、実際のビジネスプロセスに組み込まれ、継続的に価値を提供する産業用デバイスとしての側面を強く持つようになり、導入企業の運用負担を軽減しながら、長期的なROI(投資利益率)を期待できる環境が整えられたのである。

GMO AIRの「現場で使われる技術」という主張
GMO AI&ロボティクス商事は2024年6月に設立され、2026年6月にはUnitree Roboticsと国内正規代理店契約を締結した。その後、8月には大規模なヒューマノイドH2 Plus、H2-D、およびクアッドローターAs2-Wの取り扱いを開始し、今回のG1+の追加によって、より多様な用途に対応できる製品ラインナップを戦略的に拡充している。GMO AIRは単なるハードウェアの販売者に留まらず、ロボットの導入から運用、そしてその後の進化までを包括的に支援するパートナーとしての役割を明確に打ち出している。この体制は、顧客が直面する技術的課題や業務上のニーズに応え、最適なソリューションを提供することを目的としている。
特に注目すべきは、GMOインターネットグループが持つ強固なインターネットインフラ、高度なセキュリティ技術、そして金融サービスと組み合わせる独自の戦略である。「デモで終わらせず、現場で使われる技術」というスローガンの背後には、ロボット導入後の運用支援体制、サイバーセキュリティリスクの評価と管理、そして生成されたデータの利活用までを一貫して支援する包括的なエコシステムがある。このアプローチにより、GMO AIRはロボットを単なるツールではなく、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の中核をなす存在として位置づけ、長期的なパートナーシップを通じて顧客のビジネス課題解決に貢献していく姿勢を示しているのである。

CEATEC 2026で見るフィジカルAIの潮流
今日開幕したCEATEC 2026では、821社・団体がフィジカルAI関連の最新技術を展示しており、日本のロボット産業が新たな高みを目指している様子がうかがえる。中でも三菱電機は、「フィジカルAIの耳」と称する高度な音源分離技術で総務大臣賞を受賞し、音情報を用いた環境認識の精度向上を示した。また、日立製作所は社会インフラ向けの包括的なAIソリューション群でデジタル大臣賞を獲得し、ロボティクスとインフラ管理の融合によって社会課題を解決する具体的なビジョンを提示した。これらの受賞は、単なる機械の自動化を超え、AIが物理世界の複雑な状況を理解し、適切に反応する技術が成熟しつつあることを象徴している。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)もAIロボット分野で積極的な取り組みを行っており、京都大学と共同開発した「人を理解し再現するヒューマノイド」や、Thinkerが提供する「人のように手探りしてつかむ技術」などを展示している。これらの技術は、ロボットの認知能力や操作能力の飛躍的向上を示すものであり、G1+の国内展開は、こうした多様な技術が織りなす日本のフィジカルAI生態系の中で、人と関わるシーンに特化した製品として独自のポジションを確立している。G1+は、高度な知能と自然な対話能力を備えた存在として、この潮流の中で重要な役割を果たすと期待される。
国産ヒューマノイドとの競争構図
AIRoA(人工知能ロボットアライアンス)が主催する国産汎用ロボット開発コンペティションでは、Enactic、THK、不二越、ugoの4社が改良機フェーズに進出した。これら企業は2027年3月までの改良機フェーズを経て、最終的な量産機フェーズへと移行する予定である。このコンペティションは、国産ロボット産業が持つ技術的ポテンシャルを可視化するとともに、サプライチェーン全体の成熟度を高めることで、国際的な競争力を持つ製品群を創出することを目的としている。各社は独自のアルゴリズムやハードウェア設計を磨き上げ、最終的な製品競争力において優位性を確保しようと激しく競い合っている。
一方、松尾研究所と川崎重工は、Kaleido9による重量物運搬デモに成功し、約22.7kgのカゴを持ち上げる実機制御技術を実証した。これは、ロボットの力強さと制御精度の両立という、長年の課題に対する具体的な解決策を示すものである。国産と海外のヒューマノイドは、それぞれ「対話」と「作業」という異なる軸で進化を続けており、市場は多様化するニーズに応えるため、これらの技術的特徴を備えた製品が共存する構造 becoming を形成しつつある。G1+の国内投入は、この競争の中で、特に人と関わるシーンに特化した選択肢を提供するものとなり、ユーザーが自社の業務内容や目的に応じて最適なロボットを選択できる環境を豊かにする役割を果たすのである。
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