観光庁によると、2026年4-6月期の訪日外国人の旅行消費額は2兆5,096億円で前年比0.2%増となった。2025年は過去最高を記録したが、2026年は高い水準を保ちつつ伸びが鈍化している。
日本を訪れる外国人観光客による消費は、いまや日本経済を語るうえで欠かせない存在となっている。円安や訪日客数の回復を背景に大きく伸びてきたこの分野は、地域の経済や雇用にも広く影響を及ぼすようになった。その最新の動向に、あらためて関心が集まっている。
観光庁が公表している調査によると、訪日客の旅行消費額は2025年に過去最高を記録した一方、2026年に入ってからはその伸びが鈍化している。ここでは、最新の統計をもとに、消費額の推移や1人当たりの支出、国や地域ごとの顔ぶれについて整理していきたい。
2025年は過去最高
観光庁によると、2025年の暦年ベースの訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円に達し、前年に比べて16.4%の増加となった。これは暦年として過去最高の水準であり、訪日消費が日本経済の柱の一つへと成長したことを、はっきりと示す結果となっている。
四半期ごとの動きを見ても勢いは強かった。2025年10月から12月までの消費額は2兆5,330億円で、前年の同じ時期に比べて10.3%増加し、四半期としても過去最高を更新した。円安の追い風や訪日客数の回復が、消費全体を力強く押し上げていた。数字の面でも、インバウンドの好調ぶりを象徴する結果だった。
2026年は伸びが鈍化
こうした勢いは、2026年に入るとやや落ち着いてきた。観光庁によれば、2026年1月から3月までの消費額は2兆3,378億円で、前年の同じ時期と比べた伸びは2.5%にとどまり、これまでの二桁の伸びからは大きく減速する形となった。それでも消費額そのものは、高い水準を保っていた。
続く4月から6月までの消費額は2兆5,096億円で、前年同期比の伸びはわずか0.2%だった。金額そのものは依然として高い水準を保っているものの、伸び率という点では、ほぼ横ばいに近い状態にまで鈍化してきたことがうかがえる。急拡大の局面は、ひとまず落ち着いてきたといえそうだ。
1人当たり支出は増加

一方で、明るい材料もある。観光庁によると、2026年4月から6月までの1人当たりの旅行支出は24万4千円で、前年の同じ時期に比べて3.3%増加した。訪れる人ひとりひとりが使う金額は、着実に増える傾向を続けているのである。一回の旅行あたりの支出は、むしろ厚みを増している。
消費の総額の伸びが鈍る一方で、1人当たりの単価が上がっているという構図は示唆に富む。単に人数を増やすだけでなく、より質の高い体験や高付加価値なサービスにお金が使われる、いわゆる量から質への変化が進んでいる可能性も指摘できる。これは、受け入れる側にとっても見逃せない変化である。
国・地域の顔ぶれ
消費額を国や地域別に見ると、その顔ぶれにも動きがある。観光庁によれば、2026年4月から6月までの上位5つは、米国、台湾、中国、韓国、香港の順となっており、欧米やアジアの主要な国と地域が幅広く名を連ねている。アジアと欧米の双方が、日本での消費を下支えしている構図だ。
一方、直前の1月から3月までの期間では、台湾、韓国、中国、米国、香港という順番だった。時期によって順位が入れ替わっており、特定の国だけに頼るのではなく、多様な国と地域からの訪問客が消費を支えている様子が読み取れる。特定の市場への偏りを避けることは、消費の安定にもつながる。
好調を支えてきた背景
訪日消費がここまで伸びてきた背景には、長く続いてきた円安や、国際線の便数の回復など、いくつもの要因が重なっている。宿泊や飲食、買い物といった支出は、観光地はもちろん、その周辺の地域経済にも幅広く波及してきた。訪日客の増加は、各地の雇用の面にも影響を与えている。
もっとも、急速な訪日客の増加は、一部の人気地域における混雑など、いわゆるオーバーツーリズムと呼ばれる課題も生んでいる。恩恵を地域全体へと広げつつ、暮らしとの両立をどう図るかが、今後の重要なテーマとなっている。持続可能な観光のあり方が、各地で模索され始めている。
今後の展望
政府は観光を経済成長の重要な分野の一つと位置づけており、観光庁は消費の動向を四半期ごとに調査し、公表を続けている。こうしたデータは、今後の観光政策や各地の受け入れ態勢を考えるうえで、重要な手がかりとなっていく。官民が連携して環境を整えることが、これまで以上に求められている。
2026年の訪日消費は、記録的だった前年の水準を保ちながらも、伸びという点では踊り場を迎えつつある。数の拡大と1人当たりの単価、そして持続可能性のバランスをどう取っていくかが、これからの日本の観光をめぐる焦点になりそうだ。量と質の両立が、次の成長のカギを握るとみられる。
観光庁: とても分かりやすいです.

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